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半導体は東北地域でアツい!/東北地域の半導体vol.3

前回、前々回と、岡村さんにお聞きしながら、
さまざまな用途で使われている半導体と、その将来性について勉強してきた。

「半導体は、私たちの暮らしに欠かせないものになっています」
とよく耳にするが、本当にもう、半導体がなかったら、私たちの暮らしは成り立たない。
なにしろ、トイレすら機能不全になるのだ。

ところで皆さんは「半導体」と言われて、どんな地名を思い浮かべるだろう。

シリコンバレーだろうか。
インテル、NVIDIA、クアルコムなど世界をリードする半導体企業が集結し、Google、Apple、Teslaなどがイノベーションの波を巻き起こし、多くのスタートアップ企業が生まれている。
半導体の聖地と言っても過言ではないだろう。

日本ではどうか。
九州、熊本県だろうか。
熊本県では、ソニーやルネサスエレクトロニクスなどの大手半導体メーカーが拠点を持ち、新規投資計画が相次いでいる。
中学校の社会の時間に、「九州はシリコンアイランド」と覚えた記憶も鮮明だ。
九州、熊本県は、半導体産業の重要な拠点だ。

ほかに、思い浮かべる地名はあるだろうか…?

東北地域の半導体

さて、集積回路製造業、半導体素子製造業、半導体メモリメディア製造業、半導体製造装置製造業の出荷額という、
ある意味、純粋な半導体関連製造業の出荷額を調べると、
九州が国内約21%、東北が12%のシェアとなっている。

『九州における半導体関連産業の動向~オール九州で挑むシリコンアイランドの未来~』,日本銀行福岡支店,2023年3月20日(https://www3.boj.or.jp/fukuoka/topics/topics202303.pdf)

やはり意外にお思いだろうか。
半導体は東北地域というイメージはなんだか薄いようなのだ。

半導体関係のお仕事探しの動きがわかる
就職・転職リサーチ会社 Indeed Japanのデータがかなりリアルで、

縦軸が「求職者の居住地」、横軸が「検索した就業先の所在地」で、
”半導体”のキーワードを含む仕事を検索した数が多いほど赤く、少ないほど青くなるのだが、

熊本県は、縦に長い赤い帯になっていて、
全国から検索されており、
半導体で稼げる・住みたい地として、よく知られているよう。

それに対して、東北地域は、
他地域から検索されていないどころか、
地元民までも熊本県を検索している…!?

実は、それで筆を執ったのだった。
たしかに、東北に住んでいても、実感が沸かないような・・・

ちなみに九州が「シリコンアイランド」と呼ばれていたのに対し、
東北地域が「シリコンロード」と呼ばれていたのは、
中学校の教科書にも載っていなかった豆知識。
今はさらに進んで「シリコンコリドー」の形成が進んでいる。

地図にプロットすると、東北地域にはこんなにたくさんの半導体関連企業が立地している。

次世代の半導体人材を育成する取組が進むほか、
2024年4月、民間主導の産学官の連携体「東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアム(T-Seeds)」が発足している。

クリーンルームで行われた半導体チップを製造する実習
東北大学西澤潤一記念研究センターにて

コロナ禍での、わが家のトイレ危機のように、
半導体不足で製品供給がとどこおることがないよう、半導体の安定供給は必要だ。

半導体不足になると、これまたコロナ禍のマスクのように、自国への供給を優先するわけだから、
経済安全保障の観点からも、自国内に供給拠点をもっておくべきだと思う。

半導体について思うとき、
ぜひ東北地域のことを思い出していただけるとうれしいです。

文:ともとも

半導体産業(東北経済産業局HP)
https://www.tohoku.meti.go.jp/s_monozukuri/index_semicon.html