トイレにも半導体?/東北地域の半導体vol.1
わが家は、コロナ禍にちょうどマイホームの引き渡しのタイミングだった。ようやく住める!と思いきや、ハウスメーカーの担当者から「トイレは納品できないかもしれない」と告げられる。
果たしてトイレのない家に住めるのか・・・
と真剣に考えたのだが、
それにしてもなぜトイレ・・・?
聞くと、コロナ禍による世界的な半導体不足で、
トイレに使う半導体が足りないらしい。
えーと、トイレに半導体・・・ですか・・・?
結局、無事トイレも含め引渡しを受けたわけだが、
半導体、知らないうちにトイレにまで入っていた。
半導体ってなんだべ?
半導体って、何者なのだろう。
「半導体ってなに?」でググってみた。
なるほど、わかりません。
文系な私には、どうにも縁遠い世界である。
だいたい、姿形を見たことすらない。気がする・・・
AIの力を借りよう。ChatGPTに訊いてみた。
ChatGPT:コンピュータ、スマートフォン、テレビ、太陽電池などの製造に使用されています。
ーーつまり、電子機器の発展に大きく貢献してるってことよね。うん、それは何となく知っている。
もう少し具体的に直感的に、難しいことなしで、
「どうして半導体が必要なのか」が知りたい!
ということで、一般社団法人OpenSUSI代表理事で、株式会社AIST Solutionsプロデューサーの岡村 淳一さんに教えていただきました。
半導体は大きく分けて3つ
ーー単刀直入に質問します。半導体って何ですか?
岡村:わかりました。では、難しいことは一旦棚に上げて、できるだけ直感的にわかるよう説明してみますね。
ーーよろしくお願いします!!
岡村:半導体は、大きく分けて、アナログ半導体、デジタル半導体、パワー半導体の3つに分類できます。
ーー「半導体」といっても種類があるのですね。
岡村:まず、アナログ半導体は、センサーですね。温度や気圧、加速度などの”信号”を変換したり生成する機能の半導体。スマートフォンでは、Wi-Fiの電波を受信するところなどに使われています。
ーーPHSはアンテナで送受信していたのが懐かしいですね。電波が悪いとよく、アンテナを伸ばしていました。そして折れました。
岡村:デジタル半導体は、「0」と「1」で計算したり記憶する、いわばコンピュータです。代表的な例でいうと、パソコンの「CPU」とか「MPU」とか、AIでいえば「GPU」とか。
ーーパソコンを買うとき、CPUのスペックの高さが大事って、よく店員さんが言っていました。計算や記憶の性能のことなのですね。
岡村:そして、パワー半導体はモーター駆動、ものを動かすために使う半導体ですね。身近な例で言うと、EV(電気自動車)やエアコンのモーターを回すためのインバーターにも使われています。
ーーパワー半導体という言葉は聞いたことがあります。
岡村:パワー半導体は重要視されていますね。たとえば、EVの普及のために、効率を上げることが至上命題になっている中で、今までのシリコン(Si)の半導体ではなく、SiC(炭化ケイ素)の新しい半導体が生まれ、徐々に使われています。
ーー半導体は複数使われているイメージがあるのですが。
岡村:半導体は組合せで使われていることが多いです。日常でよく使うものだと、タッチレス水栓です。
岡村:蛇口の近くに近接センサー(アナログ半導体)があり、手が近づくと「近づいてきた!」という信号が出て、パワー半導体に命令を出す。すると、パワー半導体は蛇口をひねり、水が出るというわけです。
ーーところで、トイレにも半導体が使われているのでしょうか。
岡村:温水洗浄便座に使われていますね。着座センサーがあり、便座に座った状態でないと、洗浄機能の操作ができないようになっています。
ーーなるほど!そういえば、便座のふたが、人をセンサーで検知して自動で開くトイレもありますよね。半導体は、トイレまでもデジタル化しているんですね。
なんとなく「センサーがあるんだろう」くらいのことしか考えていなかったが、つまりこれも半導体のなせる技、ということか。
ありがとう、半導体。
次回
最近巷を騒がせているAIやビッグデータにも、もちろん半導体は欠かせない。
ということで次回は、トイレからAIまで、さまざまなところで使われている半導体のニーズの伸びしろについて、引き続き岡村さんにお話を伺う。
次回予告:「実は今こそハードウェアの時代なんです!/東北地域の半導体vol.2」
文:ともとも